キジについて

ときどきお邪魔する里山へ行ってきました。ここは地元に住む方々がきちんと手を入れて管理している場所です。わたしもタイミングが合うと微力ながら、草刈りや田んぼにまつわる作業をお手伝いします。

この里山は田んぼの他に、湿地帯や小さな池もあって、アマガエルに始まりアカガエルやシュレーゲルアオガエル、ダルマガエルなど多くのカエルたちが元気に暮らすことのできる素敵な場所です。そのため、野鳥や昆虫もたくさんいます。

しかし近くではあるものの、少々行きづらい場所にあり、しょっちゅうは出向けないのが難点。前回はアカガエルの卵塊を確認しに行ったきり、来られていませんでした。

さて今回は、入り口のあたりで、すぐキジに出会うことができました。
(生きものは多くいますが、出会えるのは少しだけなので入って速攻会えるのは貴重です)

「キジも鳴かずば撃たれまい」という有名なフレーズがありますが、実にそのとおりで、むこうから「キイーッ」という甲高い声で居場所を教えてくれたのでした。春から初夏は繁殖期で、そのために鳴いているわけですが、見つけたのは残念ながら、人間のメスだったというわけです。

そんなわけで、彼は一羽でぶらぶらしていましたが、前回ここでキジに遭遇した時は、カップルでした。

その日は平日で、そしてわたしは無職だったため昼間からそこを散歩していました。当然、他に歩いている人はそうそういません。そしてキジたちも油断していたのでしょう。

ふつうに人の通る道だったのですが、わたしが不意に現れたことで、カップルは道をはさんで反対側の草むらへ急いで隠れ、別れ別れになってしまったのでした。しかしその時、わたしはそれに気づきませんでした。目に入ったのは、地味なベージュ色をしたメスだけでした。

メスは反対側のオスが気になるようで、なかなか遠くへ行きません。そのためなぜ逃げないのかと、わたしは不思議がりながらも、そのすきに何枚か写真を撮りました。

そしてその際、道のわきの赤いなにかは目に入っていましたが、よくある何メートルなど書いてある道標だろうと思い、気にもとめなかったのです。

そうこうしているうちに、おじさんが通りかかりました。おじさんはキジのことなど気にもせず、サッサと道を通りました。そしてそのとき、道標が動いてそれがオスのキジの頭だということに気がついたのでした。

それは急なことで、カメラをとっさに構え直したものの、ストラップがレンズの前に垂れ下がり、ちょうどいい瞬間を撮り逃しました。まさか道標がキジだったとは…。残念でした。この経験は今後に活かすしかありません。

わたしが悔しい思いをかみしめている間に、キジのカップルはむこうへ行ってしまったのでした。